こんにちは、廃人ジギンガーです。
様々な釣りにおいて重宝されているPEラインですが、以下のような問題に遭遇したことがあるのではないでしょうか??
↓
リールの説明書記載の糸巻量通りライン(長さ・号数)を購入したにも関わらず、すべてのラインを巻くことができず、余らせてしまった、、、なんてことありませんか??
なぜ余るの??計算を間違えた??不良品??
今回はそんなPEラインの太さに関する疑問について解説していきます!
ラインの標準規格とは?
PE、ナイロン、フロロカーボン、ポリエステルラインの太さ標準(標準直径)は日本釣用品工業会が制定している釣糸JAFS基準が元になっています。
もちろんすべてのメーカーが基準を遵守しているわけではありませんので、ラインは基準を遵守しているメーカーから購入することをおすすめします。トラブルのもとになります。
~釣糸JAFS基準遵守企業一覧~
PEラインの標準規格は他ラインと違う?
釣りをしていれば以下のような表を一度は見たことあるのではないでしょうか?平成22年に制定された「標準直径規格」で、糸巻量を計算する際に参考になるものです。ナイロン、フロロカーボン、ポリエステルラインについてはこの表を参照すれば許容範囲内の変動はあるにしろ概ねのライン直径がわかります。

一方で、PEラインは以下の表のように「太さ標準規格」が定めらています。単位は糸や繊維の太さの計量単位であるデニール[d]が使用されています。

??デニール[d]って結局何??
直径との関係って??
わかりづらい単位を使うのはなぜ??
以下で解説します。
デニール(太さ)って何?
「太さ」は長さの次元を持つので、メートルを用いて表記するのが標準的です。しかしながら、PEラインは非常に細くかつ柔かいので計測が困難です。
そこで、一定の長さの糸・繊維の質量によって「太さ」を表すということが行われます。糸の材質を決めれば密度(=質量/(長さ×断面積))は一定であるので、長さを一定にすれば断面積「太さ」の違いだけが残るということです。
デニールの定義は上記の考え方が元になっており、計量法上の定義は、「キログラム毎メートルの九百万分の一」です。言い換えると、9000メートルの糸の質量をグラムで表したものがデニール値となります。
例えば、長さ9000メートルの糸の質量が150グラムの場合は 150 デニール。これに対して9000メートル75グラムの場合は 75デニールとなり、150デニールよりも細い糸であることを意味します。
絹などの生糸やレーヨン、ナイロンなど合成繊維の太さを表すのに用いられます。タイツやストッキングのパッケージに表示されているのをよく見かけるかと思います。
デニールと直径の関係って?直径で表すことはできる?
密度(または比重)がわかれば太さ[d]を概算の直径[m]に変換可能です。
密度は以下の関係で表すことができます。
密度[g/m3] = 質量[g] / (長さ[m]×断面積[m2])
デニールは長さ9000m当たりの質量をグラム単位で表したものなので、
200[d] = 200[g] / 9000[m]と表すことができます。
つまり、太さ[d]を密度[g/m3]で割れば断面積が求まります。
PEラインを円とみなせば、円の面積の公式から直径に換算することができますが、あくまで概算であることに注意が必要です。
デニールを使用する理由
ナイロン、フロロカーボン、ポリエステルラインが糸一本で使用するためモノフィラメントと呼ばれるのに対して、PEラインは細い糸を撚って使用するためマルチフィラメントと呼ばれます。

マルチフィラメントを直径[m]で表そうとしたときある問題が発生します。複数の撚糸であるがゆえに、押したり、引っ張ったり、編む強さ次第で同じ糸を使用していても直径(密度)が変わってしまうのです。また、断面がきれいな円形ではないので直径を正確に表すことが難しいのです。
毛糸をイメージするとわかりやすいと思いますが、強く編むか、弱く編むかで直径が大きく変化するのがわかると思います。
なので、マルチフィラメントの特徴による影響を受けにくい「長さに対する重さ」という値で太さの目安を表すことになったのです。
上記で太さ[d]から直径[m]への変換方法について説明した際にあえて、「概算」という言葉をつけたのはこのためです。PEラインの場合、毛糸のように密度が変わることはないので概ねの直径は算出できます。
まとめ
PEラインはタイツや毛糸のように伸縮性はほとんどないため、密度は大きく変わりませんが、釣糸JAFS基準を遵守していたとしてもメーカー毎で密度も多少異なるため太さも異なります。同じメーカーでも商品によって異なります。
そのため、PEラインの太さは目安程度に考える必要があります。
だからといってネットで販売されている安価なものは釣糸JAFS基準を当然遵守しておらず、極端に太いものが多いので注意が必要です。